上体各部分の動き

なかなか表現も理解もしにくい部分ではありますが少しでもトライしてみます。










ボディ部が希薄だと上部と下半身がつながらない



こんなイメージで左右の軸を割る















×・・後ろと下へ引っ張られる

○・・お尻が出ているように見えますが、仙骨は締めています

ボディ


ボディの意識


ボディはダンスの真の主役と言えます。
地味ですがこの部分の使い方如何でダンスのクオリティは"天と地"程も違ってきてしまいますので、しっかりとした意識とコントロールが必要です。
多くの方がボディを使うことに割合無頓着、左右上下に動く訳ないと思っておられるという気がします。
でも身体の中心であるこの部分を使わないのはもったいない話しです。

中心部を積極的に動かすことによってそのムーブメント又はエネルギーが身体の隅々まで伝わって行きます。

前後に割る

左右の軸を別々に割ることによりサイドリーディングのように腰部と同じ方向に使ったり、CBMのように腰と前後反対に使うことが可能となります。

上下の伸縮

腰の引き上げ&肩の引き下げそれとボディ自身の動きにより、上下方向もあたかもアコーディオンのように伸縮して使いたいところです。
楽器のようにボディでリズムを奏でてください。
ラテンの国の人達は子供の頃からそんな表現をしているのだと思います。
ラテンはまだ見た目で分かり易いですが、スタンダードももちろん同様ですので積極的に使って表現して行きます。
ボディリードとはまさにボディ部をそのように使って伝えたり受けたりする訳であって、ただ密着すれば良いと言うものではありません。

ボディを使うエクササイズには腰と連動させたアイソレーション及び胸と連動させたアイソレーションを行って下さい。
又、左右を割ってゆくエクササイズも有効です。
いずれも腹式呼吸をしながらだと効果が上がります。



ボディのフォーム


ボディから胸にかけての上体に関して申し上げたいのは、この上の図のようになっている方が多いということです。
上体の重量が重心の位置から外れてしまい、後方や下方へ引っ張る力となりその場にとどまることなどできません。
リズムも取れない、リードも待てないとなっては美しい花もすぐに散ってしまいます。

これは身体前面のインナーマッスルが使えていないからです。
骨盤と腰椎をしっかりと連動させることによって柔軟で張りのある動きを手に入れてください。

左のイメージ図をご覧ください。重力線上に上体が乗っていることが分かると思います。
胸のトップは前に頭部は後ろになり全体としてはバランスしています。
背中もシェイプが効いてより立体的に見えます。

引き上げ


この時背中も絞り込んでいますがそれと同じにお腹側もを引っ込めながら引き上げる意識を持って下さい。
特にみぞおち辺りが前に抜けがちですので、しっかり締めるよう更なる注意が必要です。








胸の意識が希薄なのでボディ以下とホールド、頭部がつながらない

緑・・前側筋肉
ピンク・・背筋
青・・横隔膜




前後のバランス






胸部のローテーション

胸部分の意識


特に意識が行き届かない胸部分について触れたいと思います。
脚部からボディまでの縦の軸を意識する方は多いと思いますが、なかなか胸までは及ばないのではないでしょうか?。
左上の図のように胸に相当する点線部分がもし意識が希薄だったり、途切れたりしたらせっかく下から上がってきたパワーがホールドに有効に伝わらなくなります。
かといって使おうとするあまり力を入れすぎるのもエネルギーをそこでせき止めてしまいます。
これまた”ちょうどいい”のが良い訳ですが、この感覚も呼吸が深く関係して来ますので、この後の”呼吸”の項を参考にしてください。

横隔膜の意識

脚部から腰部そして背筋と腸腰筋(インナーマッスル)を使ってしっかりと支えてきましたが、整体の先生に聞いたのですが腸腰筋はみぞおち辺りで終わっているそうです。
そこから上は肺とかの臓器がある為肋骨内は空洞になっていて、筋肉的には図で示すように胸筋が前側で対応しているようです。
この為腸腰筋と胸筋は直接的にはつながっておらず、従って力がしっかりと伝わりません。

そこでこの両者をつなぐものが横隔膜であると私なりに考えています。
図で青色で表現しましたが、この部分を締めるとボディも胸部も安定してきますので、試してみて下さい。
古来、中丹田とも言われ重要な部分でありますし、この部分を意識すると良い・・と指導されるダンスの先生もおられます。
横隔膜を感じにくいなら、みぞおちと理解して下さい。

又、横隔膜と骨盤底筋を同時に意識することにより、ボディをよりストロングに感じることができる と思います。
内臓を引き上げる意識のほうが分かり易いかもしれません。


前側のテンション

特に女子の方は図のよううに美しいシェイプを作りながら踊り続ける訳ですから大変なことであるとは思います。
胸部の前と背中側を使うイメージを単純に赤で描いてみました。しっかりとバランスしていてきれいです。
この時背中側を縮めるのは分かりやすいですが、比較的前の意識がなくなる状態に陥り易いです。

前後を使ってこそのバランスになりますが、前面胸部を使う意識が弱いと前に押し出されてテンションもなくなります。
私はこういうふうに前に抜けてしまう現象を私なりの言葉で”胸をはじく”と言っています。
こういう時こそ胸筋を意識し、横隔膜部をしっかり締めてみて下さい。
この時前述のように骨盤底筋の意識、言い替えるなら股関節の前も抜けないようにしっかりとお腹を締めるのはもちろんのことです。

左右に割る

胸の部分といえど左右に割る動きは必要です。
鳥かごのようになっている肋骨の関係で腰ほどは大きく動かないと思いますが、充分ローテーションさせて下さい。
これにより下からのムーブメントが上に伝わり易くなりホールドとのなじみがとても良くなります。




























胸部のアイソレーション

呼吸筋を使う



心臓は筋肉でできていますので自力で動いていますが、肺は風船のようなもので自前の筋肉では動かせません。
そのかわり呼吸筋とも呼ばれる胸を取り巻く筋肉があります。
横隔膜を含むこの部分を意識して使って行くことは取りも直さず呼吸を楽にしていることです。

呼吸をするとはまさに生きている・・生き生きしたダンスを表現できることになります。
又、筋肉が動くことにより美しいシェイプも容易に得られます。
一見同じような形をとって見ても動かない筋肉はまるでブロンズの胸像のように固く、重いものになってしまいます。

アルゼンチンタンゴでは胸でリードし又、受けるのが良いとされています。
もちろんポスチャーなど違いますがボールルームダンスでもこの胸を柔軟に使う意識を少しだけ取り入れてみるのも良いのではないでしょうか。


アイソレーション

この呼吸筋を柔軟にすることで左右の軸を胸にも感じることが楽になります。
また前後左右への体重移動のすべてのシーンにおいて胸部を軸線の上にきちんと連れて行くことも可能になります。
これらの部分を目覚めさせるエクササイズとしては胸部のアイソレーションが有効でしょう。
ラテンの世界チャンピオンのマリトースキー組も推奨していますので試してみて下さい。

腰は動かさないで胸を図のように前後左右、できたら斜めにも使ってください。特に後ろ側はごまかさずに丁寧に行うと効果的です。
腰のアイソレーションと同様に肩は水平に保ちます。

最初はほんの1㎜づつ動かすことから始めて少しずつ広げて行って下さい。
0と1では無限大に違いますが1から2はすぐです。




肩・肩甲骨・ホールド

肩、肘、手首



皆さんホールドにはいろいろとお悩みもあるかと思いますが、まず最初に”エレメント”の項で横の軸と申し上げました。
左の肘から右の肘までを一つながりと捉えてください。これを一体で動かす意識が大事です。左のように胴体から手が生えているのだとしたら肩から先が自由になりすぎてチョイチョイと腕でリードをしてしまいます。これを”小手先”と言って相手から信頼を得ることはできません。
背中で縦の軸と接続してボディ本体からのムーブメントを伝えていくことが重要です。

そうは言っても肩が上がるんだよな~・・と云う方は下の図のように肩甲骨と肩の付け根部分を下方に引き下げるようにするとグッと安定してきます。前の鎖骨側も一緒に下げるようにします。

両肘から先はフレキシブルに楽にさせてください。
手のひらはしっかりとホールドのしなければなりませんが、過度に手首や肘まで固めて腕全体が突っ張ってしまいますと、相手との力比べになってしまいリード&フォローが伝わるのをブロックしてしまいます。

これについては両肘までをしっかりキープして、肘から先の力を抜いてブラブラさせるエクササイズを試してみて下さい。


肩が上がってしまうのが気になる方は、図のように肘の高さをキープしたまま肩を上げ下げするエクササイズをしてみたら如何でしょうか。
左右片方づつ行うと理解しやすいです。


左・・肩から・・×、
右・・肩甲骨から・・○

肩甲骨、肩の引き下げ




肘から先をブラブラ振る


肩を上げてグッと下げるを繰り返す


肩甲骨を動かす



右の図をご覧ください。
空気をはらんでなにやら大空へ飛び立ちそうです。
私がイメージするホールドはこんなふうです。
あたかも鳥のようですね。

肩甲骨は肋骨に固定されているものではありませんので、ある程度は自由にはがれて動き回れます。
腕の付け根であるこの肩甲骨と、脚の付け根である股関節・骨盤が、身体の中でおそらく一番伸縮する箇所でしょう。
この部分を使い切ることによって伸びやかなダンスを手に入れることが出来ると考えます。

反対に次の図は羽を休めています。
踊っていませんね。
躍動するようにしましょう。
くれぐれも肩のところで折らないようにしてください。





羽ばたいている





休み・・元気がない

ホールドは動かず、ボディが動く


ホールドとボディの関係がどうなるか考えます。
まず右の2枚の図をご覧ください。一応ホールドを基準にしてボディが動く場面をイメージしました。

通常カップルで動く場合は常にホールドはお互いの中間にあって、動きにつれて移動はして行きますが、カップル間のホールドの位置関係が変わることはありません。

サイドリーディング、CBM、ターン等のシーンでは、一方の背中は肩甲骨が詰まって見え、もう一方は肩甲骨が広がって見えます。
これは肩甲骨が動いているように見えますが、本当はボディの方が動いているのですね。

ホールド側が動く


次の2枚は今度はピクチャーポーズやスェイチェンジのように静止しているボディが基準になってホールドがより変化するシーンです。
カップルのホールドの位置関係が変わらないのは上記と同じです。

いずれもホールドと言いますか肩甲骨がかなりフレキシブルにボディの上を動いている様を誇張して描いてみました。

実際の動きではこの基準自体が移動しながら変化して行くものですから、こんなに単純ではなくもっと複雑な動きになりますが、概念はご理解頂けるのではないかと思います。


崩さないのはホールド


一部のかたでホールドを崩すなと言われて、まるでボディとホールドを溶接してしまったかのように固めている例も見受けられます。
崩さないのはホールドであって移動する中ではボディとの関係は変化して行くべきものです。
変化しないと逆に歪みが生じてホールドが崩れて見えるのが不思議なところです。

両足を揃えて真っ直ぐに立ってホールドを保ったまま水平に回転させてみてください。
そうすると胸部は45度くらい回転しますでしょうか。
その時ホールドは75度くらいの回転になっていませんか?
この約30度の差が胸部と肩甲骨の”あそび”ともいえる大切な部分になります。
フォックストロットのサイドリーディングやCBMなど特に顕著に影響がでます。

全ての動きの中には多少の”あそび”というものが必要だと思います。
建物でも剛構造よりも粘りのある柔構造のほうが地震力の変化に対応できますね。






ホールド固定、ボディが動く

ホールド固定、ボディが反対に動く





ボディ固定、ホールドが動く

ボディ固定ホールドが反対に動く

スペースの共有

右の上の図は胸の前を絞り込んで、前側に大きな円を意識しています。
この大きなスペースの中に相手を受け入れます。
相手も同じように円を作りますので、スペースが重なり一体感を感じられます。

一方右下の図は胸の前を弾いてしまい、相手を受け入れることが出来ません。
スペースは背中側になり、相手を感じられなくなります。


○・・胸の前を締め前に円を感じる

×・・胸の前を弾いて相手を感じない




背骨に真っ直ぐ乗せると楽

首の筋肉が疲れる

背骨の延長に置くようにする





肩を下げると首は長くスッキリ

肩が上がると短い首に見える




ボディの向いている方に顔も向くのが自然

ボディが左、顔は右
首が捻れて苦しい

頭部



人間の頭の重さは5~6㎏あるそうです。
それが常時上に乗っかっていたらかなり疲れますよね。
ましてや日常生活においてはデスクワークとか家事とかで何かと下を向くことが多いので、かなりの方が前に引っ張られているんではないかと思います。
最近ではスマホの使い過ぎの影響が問題視されています。

そうなりますと頸椎で支えるべきところがそこから外れて前にずり落ちて行くので、首や肩の筋肉だけで支えようとして肩こりになったりするのだそうです。

私のことで恐縮ですがダンスに携わっている身ですからまあ姿勢は悪い方じゃないと思っていましたが、以前機会があって測定してもらいましたところ前にきていると言われガックリしたことがあります。
背骨は身体の後ろのほうにありますから背骨に乗せるように、一生懸命後方へ持って行くように矯正しました(汗)。

頭は背骨&頸椎の上に乗せる


男子の場合は特に気を付けないと頭に引っ張られて肩までが前に来てしまい、女子を羽交い絞めにしてしまいますのでno goodです。
女性は後方へシェイプしますから別の面で疲れますよね。
一応頸椎の延長上に頭を置く意識でそれ以上反る必要はありません。ボディのほうで作るシェイプの延長線上にあればそれが一番自然な位置だと考えます。

肩を下げる


普通の人は奇人、変人ではないので首はほとんど伸びません。スッキリとしたネックを見せたければ肩を落とすことを常に心がけてください。
肩を落とすことによってホールドも広がりますからダブル効果になります。それと骨盤を締め仙骨を引き上げることによって体幹の引き上げを心がけて下さい。
土台がしっかり上がるとスッキリと頭部も伸びてきます。

頭はあとから


ワルツのホイスクやタンゴのリンク等のシーンが代表的なところですが、主に女子の問題となります。
それはリードもしないのにネックを返す方が割に多いということです。
やはり進行方向を早く確認したいという心理が働くのでしょうか。

まだ男子のリードがないにも関わらずに顔だけが反対方向を向くのは、首が捻れてかなり無理で不自然な態勢になります。
苦しいのでボディの方が首に引っ張られて早く開いてしまい好ましくないので、どうぞ慌てて先を急がないで下さい。

特殊なネックフリック等を除き、下のボディの方から動いて来て頭部は最後になるのが自然です。

背中から使う


頸椎は七個あります。
人間もキリンもその数は同じだそうです。
第七頸椎は少し背中のほうに入り込んでいますので、背中から動かすようにしたほうが自然で優雅に見えます。
首だけキョロキョロするのは挙動不審です。




縦軸と頭部との関係

ボディ部で作った左右の軸に対する頭部&背骨の位置関係について、私は次のように理解しています。

①は片方の軸、中央は背骨の位置です。
②は左右両方の軸と中央の位置です。
③は片足になった時の位置です。
  動く時は③のような位置関係になります。実際には③にスェイがかかりますが④のように片方が下がったり⑤のように腰が折れたりしないようにします。
  



①   ②   ③

④   ⑤


社交ダンスよもやま話!