良くあるダンスの悩み

日々のダンスライフの中で男子、女子共にいろんな点が上手く出来なかったり、指摘されたりして悩んでいる方もおられると思います。
ましてや自覚のないことについては、何で・・・??という思いもあることでしょう。
自分のことは案外見えないもので、他人の目で見る方が的確なことも多くあります。
私が耳にすることの多い点を以下に列記して、その問題点なり原因について考えて見たいと思いますが、どうしても男性の視点からになってしまいますけど・・。

重いと言われる

これは多くは男子が女子に対して言う言葉ですが、もちろん反対のケースもあります。
体重の多い、少ないではありません。
細くても重い人はいますし、太目でも実に軽い人もいます。

ケース1・・・移動が重い

これはひとえに上体の移動がスムースに行われているかどうかにかかっています。
両足で立つ状態は静止だと前に申し上げました。
移動していても重心が両足の範囲から出ないならそれは静止状態に近くなり、自分は安心でしょうが相手は重く感じます。
足の範囲を外れて次の足に移動するところも、スムースな重心の移動すなわち上体の移動がなされなければいけません。
その為には下半身の可動域をしっかり作っていくことです。
ただし関節を深く折っても”伸びちじみ”しなければ動きませんから念のため。
心当たりのある方はもう一度チェックしてみたらいかがでしょうか。

ケース2・・・反り過ぎて重い

女子が自分で立てない程反り過ぎて、男子の右手に体重を預けてしまうとこれも辛いです。
男子は引きずり込まれますから動きが制約されるばかりか負担が大きくなります。
男子は支えようとしますがそれをテンションとは言いません。
女子はしっかり自分の力でボディを引き上げてください。

掴まるなと言われる

ケース1・・・女子の場合

女子だと手でしがみついたり支えようとするあまり、重いと指摘されるケースです。
男子は自由に動けなくなりストレスになります。
これは下半身が弱いことが一番の原因です。
その結果腰がふらつき、上体も不安定・・・どうしても掴まってしまいます。
これはもうウォークやシャドーを繰り返して下半身の安定を図るしか他に方法はありません。
上手な方は見えないところでそういう努力をしています。

ケース2・・・男子の場合

男子でいうと相手に覆いかぶさる、相手を抱え込むなどのことです。
肩や肩甲骨が硬くなるとどうしてもホールドが広がりません。筋肉が上手く伸びないからです。
ストレッチなどで可動域を広げていきましょう。
又、背筋が使えないと頭が前にかぶさってきますので、しっかりと背筋を伸ばし足元を気にして見ないように注意することです。
緊張して腕の筋肉が収縮したり、他の部位を使おうとして思わず腕まで力が入ったりしても起こります。
これははじめは誰でも仕方ありません。
繰り返し練習することによって徐々に慣れて行ってください。

はやく動きすぎと言われる

女子後退の時に多い現象です。
リードが確実に伝わってから動いてください。
早く動かれるとボディテンションで動いているときなど、突っかい棒を外されたようでオットットになります。
かなりの上級者であってもリードにはかなり苦労するでしょう・・・というよりリードできません。

これはフットワークが正しく行われていないために起こりますが、いわゆるサークルでの”足型ダンス”もこの一因としてあると思います。
かくいう私も過去に何十人かのサークルで講師をさせていただきましたが、やはりアマルガメーションを優先した指導になってしまいます。
みなさん今日ひとつのフィギュアを覚えることで目に見える成果として残りますから興味を示されます。
反面リード&フォローなどという形のないものについてはそう簡単には成果として残りません。
その結果男女共自分の”足型”を踏むだけのダンスに陥り易く、リードなど関係なく動くことになります。
この点はおそらく多くの指導者が悩んでいる点だろうと思います。

また反対に前進の時にお相手の足を踏んでしまったことはありませんか?
これも充分な支持脚のサポートなしに次の一歩を早く出し過ぎたことによりおこります。

素早く動け

早く動きすぎるな・・と言いましたが、リードされたら素早く動く

振らつく、芯がない

これは縦の軸線が身についていない・・体幹と言いますが超重要です。
腿や腰〜みぞおちのタガをしっかり締める意識が必要。
自分では掴まってなんかいないと思っているでしょうし、少しくらいいいじゃない・・と思われるかもしれませんが、けっこう男子にはじわじわと効いてくるんですよ。
自分の腕を数分上げ続けるだけでもたいへんですからね。
長い間には上腕、肩、肩甲骨あたりがカチカチになってきます。

歪む

これもコンパスのようにはっきりとした回転軸や移動軸が意識されない為、肝心の軸が途中でぐにゃりと折れ曲がってしまうことが原因です。
自身の軸でしっかり立てないことと、下半身が動かないで上部だけで動くのが原因です

私が感じることの一つは女子の頭の動きが早すぎることも原因です。
例えばクローズからPPへ変わる時などリードもまだないのに頭だけ右をみてしまう。
そうすると身体は男子の方、頭はPPの方に向き首が無理に捻じ曲げられますので、つられて身体全体が不自然なかたちに歪むことになります。
また、別の時でも首だけキョロキョロすると同じことになります。

もう一つはスウェイなどを上体やホールドだけで表現しようとし過ぎるときです。
女子ももちろんありますが、男子で言うとターンなどの場面で腕でリードしようとする時など代表的なところです。
上が動き下が動かないところに歪みの原因があります。
あくまで腰が動きボディが動いた結果の上部の動きになります。
そしてその腰を動かすのは脚部です。

引っ張るな! 押すな!

ラテンの時なんか良く女子がリードしてくれます(苦笑)。
押したり引いたり、しかも腕で・・・。
基本的にそれは男子の役目でしかもボディでリードしますし、女子も腕や肩で受けないでボディで感じます。
でも男子も腕でチョイチョイとリードする人がいます。
これはまさに”小手先”とでもいう動きで、何をしたいのか女子には伝わりません。
コンタクトポイントは相手との中間にありますので、ボディが遠ざかれば腕は伸びるし近づけば縮みます。
腕に力仕事はさせないでリードを受けることに専念させます。

身体が固い

ケース1・・物理的に固い

これは私もその悩みを持っているひとりです。
とにかく動かす・・・これに尽きます。
ただ動かし方にも工夫が必要です。
まず今ま出来なかった動きを得る為の関節の可動域を広げる為のストレッチ、もう一つは今までの動きの範囲をよりスムースにする為に繰り返す動作。
特に内臓系やインナーを柔らかくする為に呼吸によるストレッチも加えると言うことなしです。
追い求めるとこれでいいということのないのが柔軟性ですが、油断するとすぐ固くなってきますので不断の努力が必要ですね。
人間柔らかく生まれて固くなって死んで行きますから共にあきらめないで頑張りましょう。

ケース2・・気持ち

これは緊張したり、息を止めたりで身体を固めてしまっている場合です。
実力程には動けなくなってしまいます。
誰しも多かれ少なかれあることですが、そこは充分練習したんだから大丈夫とか、楽しいことなんだからエンジョイしようとかの精神的なことでずいぶん変わるものと思います。

教え魔が多い

これは圧倒的に男子に多いですね。
ダンスパーティーは楽しむところであって、練習場ではありません。
ましてや頼んでもいないのにああだこうだと教えるのは明らかにルール違反だと思います。
しかも流れを止めてまでは周りにも迷惑です。
教える方はご自分のダンス理論に自信をお持ちでしかも親切心からなのだと思いますが、TPOをわきまえることが大切です。
女子からはなかなか断れないと思いますし、中にはいろいろ指摘されて自信をなくしてしまう方もおられます。
お相手の女性は当然ながら同じ価値観、向上心の人だけではありません。
頼まれたのでなければ男性からの一方的なそれは、たとえ親切心からでも一定の節度と注意が必要です。

ホールドが動く(男子の手のひらが一定しない)

ケース1・・・男性の問題

前にも出てきましたが縦軸が安定しないとホールドも一定に保てません。
またホールドか肩で抜けたりして一定しないことや、手でリードしようとしすぎてズルズルと動きやすくなることも原因です。
肩甲骨から肘までをしっかりストレッチして、手のひらでピタッとコンタクトしてください。
背中でもぞもぞ手を動かされる女性の身にもなってください

ケース2・・・女性の問題

シンクロの項でも述べましたが女子のボディが男子のリードの範囲を逸脱して暴れまわるために起こりますので、軸の安定を図ることが必要です。

上手く行かないけど、どこを直して良いか分からない

それなりの指導者にみてもらうことです。
正しく習っている方はダンスのお相手に直ぐ分かりますし我流は敬遠されます。

自分でなおす場合は誰でも一つくらいは思い当たること(姿勢悪いとか、ホールドが動くとか、腰がふらつくとか)を全部でなく一つづつ、ちょっとやってもう諦めないで改善することが大事だと思います。
頭は練習にこそ使うものだと思っています。

はるか昔のことになりますが、10~20歳代の頃スキーを楽しんでいた時期がありました。
雪の中を転げまわって居ても楽しかったし、それなりに上達もしました。
でも段々と転ばなくなってきたんですよね。
それはなぜかと言うと難しいことに挑戦しなくなったからなんです。
そこそこに出来ることに満足してしまったのでそれが自分の限界になってしまい、結果として遠ざかって行きました。

ダンスにおいても同じだと思います。
少しずつの進歩が感じられるから興味を持って楽しんで行けるのだと思います。
練習でいきなり格好よく出来る人はいませんし、ましてや相手のあることです。
むしろ練習は格好悪いものです。出来ないことをやるわけですから当然とも言えます。
(スキーで言うと雪面を転げまわるようなものです)
でも指摘されたことを愚直に繰り返し身につけて行く過程を飛ばしては次のステージには進めません。
”初めから格好よくできる”・・はありません。


社交ダンスのあれこれ!
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