ダンス種目豆知識


私たちが楽しんでいる社交ダンスの数ある種目がそれぞれどんな歴史を経て今あるのでしょうか。
私自身も勉強しながらですが、簡単にまとめてみましたので参考にしてください。

日本の社交ダンス界特に競技ダンスは永らく英国を中心に発展してきました。
しかし21世紀に入るとその競技ダンスの流れはいまや英連邦にとどまらず、イタリアをはじめヨーロッパ各国やロシアからアジアにまで広がりをみせ、本家の英国に迫る程の勢いをみせています。

しかもそのスタイルは大きく変わってきていて、よりスポーツ的なダンスになる流れが強まっています。
一方で芸術性を重視するべきとの意見も多くあります。

いろいろな価値観からのアプローチは進化の過程の中で必要な試みです。
これまでの社交ダンスの歴史をみていると、さまざまな要素を取り入れながら時代とともに変化しているのが分かります。
これからも多様なスタイルが生まれてゆくのが自然な流れなのでしょう。

社交ダンスとは?

Social Dance(ソシアル・ダンス)と呼ばれますがSociality Dancingの誤訳からできた日本独自の言葉といわれます。
本来はBallroom Dance(ボールルーム・ダンス)と呼びます。
国策として鹿鳴館から始まった日本のダンス事情がこのように”社交ダンス”という呼び方になったのでしょうか。

社交ダンスと言ってもコンペティションスタイルの競技ダンス、ソーシャルスタイルのパーティーダンスと分かれていますが表現のスタイルの違いであってベースとなるところは同じです。

ただ社交ダンスは趣味的に相互のコミュニケーションを楽しむことを主眼としていますが、競技ダンスはダンスを楽しむだけではなく華麗なる美を競い優劣を争うスポーツとなっていて、技術的なベースは同じでもその目的や表現は180度も異なるものになっています。

日本では前記の社交としてのダンスや競技ダンスの他にも、生涯教育や健康作りとしての中高年のスポーツダンスあるいは学校の義務教育でのカリキュラム、又、主にダンス教室主催の場でのショーとしてのデモンストレーション等多様な楽しみ方に分化、発展してきています。

スタンダード


モダンとも呼ばれますが英国ダンス教師教会により競技種目としてワルツ、フォックストロット、クイックステップ、タンゴ、ヴィニーズワルツの5種目が認定されています。
歴史的には比較的新しく20世紀中頃に確立した5種目ですが、英国からヨーロッパそして世界中へと拡がりその内容は現在も目覚ましく進化中です。

次にその由来、特徴を簡単に説明します。

ワルツ(Waltz)


3/4拍子、28~30小節/分程度の速さで踊られます。
1拍めにアクセントがあります。 
カウントは1,2,3 ビートバリューは1,1,1

”クイックワルツ”としてはヴィニーズワルツがありますが、その半分の速さの30小節/分くらいの速さで踊られるため”スローワルツ”とも呼ばれています。
近年テンポがゆっくりになる傾向があり、28小節/分くらいで演奏されることが主流になっています。

ワルツはもともとはヴィニーズワルツのような軽やかでアップテンポの曲で、ヨーロッパから世界中に広まり親しまれていました。
その後19世紀の後半にはアメリカでゆったりとしたテンポにアレンジされた”ボストンワルツ”が流行しました。
それが逆にヨーロッパに渡り、イングリッシュスタイルの標準ダンスとしての”スローワルツ”に発展し今日に至っています。

それまでLODに面して始める踊り方から、壁斜め(ダイアゴナル)に面して踊り始める現在のスタイルが確立されて行ったことから、一時期”ダイアゴナルワルツ”とも呼ばれていました。
ダンス界では現在、スローワルツ又は単にワルツと呼ばれています。

仏・・ヴァルス(Vzlse)
独・・ヴァルツァー(Walzer)
日・・円舞曲

特徴

円舞曲とも和訳されるように回転の多さが際立っていますので、まずは回転に強くなることが大切なことです。

それと大きなライズ&ロアーやスウェーを使ってのゆったりしたスイングが特徴的です。
あわせて大きなトップとしっかりとしたムーブメントで3拍子のリズムを表現してください。

パーティーの花であるワルツを好んで踊られる方も多いですが、その反面更なる上達を目指して苦慮している方も多いと思います。
ライズ&ロアーやスェーのいずれをとっても下半身の使い方がポイントですので、そのへんを再チェックするのも大変有効な方法だと考えます。


フォックストロット(Foxtrot)


4/4拍子、28~29小節/分程度の速さで踊られています。
アクセントは1拍目と3拍目にあります。
カウントとビートバリューはSが2拍、Qが1拍

19世紀末アメリカでジャズの前身であるラグタイムと呼ばれる音楽が生まれ、これに合わせて生まれたダンスがフォックストロットです。
ハリー・フォックス(Harry・Fox)が考案、発表したものでこのように呼ばれますが、一部で言われているような狐(Fox)の動き由来とは関係ないようです。

当時米国、欧州などで流行したフォックストロットはスピーディーでアクションの激しいダンスだったのですが、その後カッスル夫妻が”カッスルウォーク”というゆっくりした歩行の動きをプラスしたスタイルを考案し注目を集めました。

この踵とつま先を使うゆっくりした踊り方が注目される一方で1920年代になるとチャールストンなどのさらに早いテンポの曲もあらわれてきましたので今までのフォックストロットで両方を表現するのは難しくなりました。。

そこで優美でゆっくりした動きのイングリッシュスタイルのスロー・フォックストロットと軽快で早いクイックステップへと分化発展して行きました。

特徴

ワルツが円舞曲と呼ばれ回転が多いのに比べ、ほとんど前進と後退で直線的(リニア)な動きが主になる関係上、ヒールターンが多用されるものと考えています。

ライズ&ロァーもワルツ程大きくなく、大きな波のうねりのように優雅に移動します。
最近はダンスパーティーでも踊る方が増えましたが、ゆったりとした動きで体重移動のごまかしがきかないので難しいと感じる人もいるようです。


クィックステップ(Quickstep)


4/4拍子、50小節/分程度のテンポの曲で踊られる。
アクセントは1拍目と3拍目にあります。
カウントとビートバリューはSが2拍、Qが1拍
フォックストロットの項での記述のように1920年代アップテンポのチャールストンがブームになりました。

今までのフォックストロットのステップで踊るとチャールストンは速すぎて合わせるのが難しかったようで、速いテンポの演奏に合わせて踊る”クイックステップ”とよりゆっくり演奏する曲に合わせてゆったり踊る”スローフォックストロット”に分かれたのが始まりと言われています。
今でもクイックステップにチャールストンの振りを入れたりしていますがその発生を知ればうなずけます。

またその後1930年代のスイングジャズからも大きく影響を与えられながら、さらに軽快にさらにスピーディーに進化をしています。
ただそのスピード感ゆえにパーティー会場では危険なこともあり、混んでいる時はジルバで代用するような配慮は是非とも必要です。

特徴

フロアを高速で疾走するようなスピード感あふれる流れと、軽快にはずみ躍動する動きが特徴です。
スイングダンスではありますがライズ、ロアーのほかにアップがあります。
アップはライズした”その高さをキープ”ですので必要以上に飛び上がらないようにします。
むしろロアーをしっかり使って下半身のバネを生かしてください。


タンゴ(Tango)


2/4拍子又は4/4拍子の曲で32小節/分程度のテンポで踊られます。
各ビート共にアクセントがあります。

本来は2/4拍子だったものが今では4/4拍子で演奏される曲が圧倒的に多くなっています。
カウントとビートバリューは2/4拍子の時はSが1拍、Qが1/2拍ですが4/4拍子だとSが2拍、Qが1拍となります。
19世紀半ばに南米アルゼンチンの港町ブエノスアイレスから始まった今のアルゼンチンタンゴのルーツを元にしています。

その後中南米、アフリカ、ヨーロッパ等の音楽の影響を受けながら20世紀初頭になるとヨーロッパにわたり、洗練されて耳触りの良いムード音楽として変化したのがコンチネンタル(大陸の)タンゴでアルフレッド・ハウゼオーケストラ等が有名ですね。

このコンチネンタルなタンゴはダンス曲としても取り入れられ我々が踊る社交ダンスのタンゴ曲となりました。
踊り方もアルゼンチンタンゴとは全く別物で独自の発展をしてきましたが、近年競技ダンス界においても積極的にアルゼンチンタンゴの曲や踊り方を一部に取り入れる試みがなされているのは周知のとおりです。

又アルゼンチンタンゴ界においても”GOTAN”など新しい手法(ヌエボ)を取り入れた試みも積極的に行われており、両者において一部融合したりしながら今現在進化しています。

特徴

タンゴは他のムービングダンスとは異なりライズ&フォールやスェーが基本的にはなく、スタッカートを強調した歯切れの良い動きが特徴的です。
コンパクトなホールドでフットワークもヒールからボールまでとなっている分、移動量はやや少なめです。

他のスイングダンスに比べてもタイトな動きの中で強いCBMを使い、圧縮したエネルギーを強く感じるダンスです。
一歩一歩毎にアイドリングストップとならないで、次の動きへ向けた意識を保ち続けることが重要です。
やはり下半身を柔らかく使ってボディをコントロールしてゆきますので、きびきびした動きでも決して硬く使うということではないので注意が必要です。


ヴィ二ーズワルツ(Viennese Waltz)


ハプスブルク帝国の都”Vienna(ビエンナ、ウイーンとも発音される)のワルツ”のことで英国風の言い方でこのように呼ばれます。
3/4拍子、58~60小節/分程度の早いテンポの曲です。


13世紀頃から農民により踊られていたようですが、16世紀に入り都市部にも伝わり優雅で上品なワルツとして発展、18世紀には王宮でも踊られるようになったようです。
19世紀に入りシュトラウス等の作曲により多くの演奏がなされるようになり世界中に広まりました。
スペイン経由で中南米にもバルス(Vals)の名で伝わりミロンガ等で演奏されたり踊られたりしています。

世界一般的にはヴィニーズワルツのほうを単に”ワルツ”と呼びますが、英国のダンス界ではイングリッシュスタイルのスローワルツのことを”ワルツ”と呼んでいる関係で私たちダンス愛好家はあえてヴィニーズワルツと呼びます。

英国ではスローワルツと並びクイックワルツとして競技ダンス種目に採用されています。
基本フィガーは下記の7種類と少ないです。
1.ナチュラルターン
2.リバースターン
3.ナチュラルからリバースへのチェンジステップ
4.リバースからナチュラルへのチェンジステップ
  (尚、チェンジステップにはフォワードとバックワードがある)
5.ナチュラルフレッカール
6.リバースフレッカール
7.コントラチェックリンク

特徴

回転量は360度の全回転で、LODに沿うように移動します。
実際には部屋の形状によって継続的なカーブを描き続けますのでナチュラルターンの回転量は少な目、リバースターンは大目となります。
ライズ&フォールはほとんどボディスイングから生じるもので、脚による無理なアップダウンは避けます。

内側回転で足をクローズする時は移動量を抑えフットライズを用いずフラットに使います。
またナチュラルターンやリバースターンの後半はヒールピボットで踊ってはいけません。

最も重要なポイントは流れるような動きを妨げないように踊るということです。


ラテン・アメリカン


単にラテンとも言います。
サンバ、チャ・チャ・チャ、ルンバ、パソ・ドブレ,ジャイブの5種目が競技ダンスとして認定されたのが、比較的最近の1960年代になってからのことです。
中南米のルーツのものが多く、それだけにボディやヒップを使った情熱的な踊りが特徴的です。

サンバ(Samba)


2/4拍子、テンポ・・・50小節/分程度
カウント(ヒートバリュー)・・・1.2(1.1)
                 1 a 2(3/4.1/4.1)
                 SQQ(1.1/2.1/2)
                 その他


ブラジルのサンバはアフリカの奴隷がルーツといわれ、絶え間なく揺れ動き続ける複数のリズムが組み合わさったエネルギッシュで情熱的な音楽が特徴的です。
アフリカから持ち込まれた音楽と現地ブラジルの音楽とが融合して、輪になっての踊りやカーニバル形式のサンバに発展しました。
腰を振る動きが特徴的なリオデジャネイロのサンバカーニバルは世界的にも有名ですね。

20世紀前半にはヨーロッパに紹介されましたが室内で踊る形式に変化し、今我々が踊るサンバはブラジルのサンバとは別物になりました。

特徴

バウンス・アクションという独特の動きが特徴的です。
膝、足首の伸縮を用い生まれるバウンスアクションがヒップを積極的に動かします。

特にインナーマッスルである深部の筋肉を連動させ、ボディでリズムを刻みながら不規則な動きで遊ばせるようにすると腰から背中までが波打つように見えます。
但し肩や頭部の動きは上下、左右に最小限に留めるのが良いのでバウンスでの上下はボディで吸収するようにします。

近年ダンスパーティーでも踊る方が増えてきてはいますが、ルンバ、チャチャチャに比べると少ないようです。


チャチャチャ(ChaChaCha)


4/4拍子、エイトビート(1&2&3&4&)の30小節/分程度で踊られる。
カウントは(2)(3)(4)(&)(1) ビートバリューは(1)(1)(1/2)(1/2)(1)となります。


1小節4拍を”1,2,3、4、&”と5歩でステップします。
キューバ発祥の音楽でニューヨークで大ブレーク、そしていっきに世界中に広まりました。

マンボから発展して1950年代になりダンスフロアに紹介され、明るく陽気で楽しいこのチャチャチャのリズムとダンスが人気となりました。
ダンサーのステップを踏む音からこの新しいリズムが生まれたとも言われています。
カウントの4&1の音が”チャチャチャ”と聞こえたことからこのように呼ばれました。

ダンスパーティーではルンバとならんで良く踊られるラテンの人気種目ですが、リズムに合わせることがけっこう難しいようです。
これは日本人はオン・ビートの民族すなわち1,3を合いの手にするので、オフ・ビートの&2、&4の音を取るのはなかなか馴染まないからだ・・との説もあります。

特徴

リズミカルなリズムに合わせ陽気に歯切れよく踊るダンスです。
比較的真っ直ぐに脚部を使いリズムを刻みます。
特に4&1の部分のシャッセやロックが早くなったり不明瞭になりがちですから、スタッカートを効かせてクリアにステップすることが大切です。

遊び心を持って柔軟にヒップや背骨を使うようにすることで、柔らかい動きと速い切れのあるダンスを心がけてください。
ダンスパーティーで良く踊られるだけに、ルンバとの違いをみせることです。
リードに気を取られて足が止まって音楽から外れる人を良く見かけますが、下半身でしっかり4&1をステップしてください。


ルンバ(Rumba)


4/4拍子、エイトビート(1&2&3&4&)のゆったりした曲で25~27小節/分程度で踊られる。
カウントは(2)(3)(4&1) ビートバリューは(1)(1)(2)となります。

キューバのアフリカ系住民の間から生まれた音楽でありリズムであって、”ソン(Son)”と呼ばれていたものが多様に進化して行ったもののひとつにルンバがあります。

キューバから欧米にソンを紹介する際に、英語の”ソング(Song)”と混同されないためとエキゾチックな語感を狙い”ルンバ(Rhumba)”の名が用いられたといわれています。

1940年代後半以降欧米諸国に紹介される中で英国においては当初1拍目から踊り出すスクエア・ルンバでした。
その後1960年代初めには2拍目から始まるより複雑な動きのキューバン・ルンバが英国ダンス教師協会により正式種目として採用されました。
今はキューバン・ルンバのことを単にルンバと呼んでいます。

ただスクエア・ルンバ、キューバン・ルンバのいずれもヨーロッパで独自に発展した別物であるために、キューバのルンバとは全く異なっています。

一方キューバからアフリカへ帰る人たちによって、アフリカ西海岸には又別の”アフロ・キューバン・ルンバ”のリズムが持ち帰られました。
日本でも流行した”コーヒー・ルンバ”はこのルンバですので、社交ダンスの曲調とは全く別物になっています。

ルンバはダンスパーティーにおいてラテンの中では、おそらくもっともファンの多い種目です。
近年曲のテンポは遅くなる傾向があり、その分表現力を求められるダンスです。

特徴

もともとは奴隷の悲哀や苦しさの中から生まれたものですが、社交ダンスでは愛の表現、華やかに又憂いを込めた男女の恋の駆け引きを表現する踊りに変わっています。

しなやかな手や官能的なヒップムーブメントを使い、ゆっくりとした曲のなかでより女性らしさを表現し、男子は力強く男性らしさを表現してゆきます。
フリーアームは決して止まることなく、身体の動きに連動してリズミカルに且つ繊細に指先まで使って表現されます。

ヒップは強調して使ってローテーションし、空間に立体的な絵を描くダンスを通じて魅力を出し合ったり戯れながら遊んだりします。


パソドブレ(Paso Doble)


2/4拍子、62小節/分程度
カウント 1,2 ビートバリュー(1)(1)
1拍目に強いアクセントがある。


皆さんご存知のようにスペイン発祥の音楽と踊りです。
スペイン語でPasoは”ステップ”のことでDobleは”倍”のこと、英語のダブル”Double”と同じです。
通常の倍の速いテンポで演奏される2拍子の曲でありダンスであるということを意味します。

マタドールが闘牛場へ入場する時の音楽として発達しましたが、そのルーツは遠く古代ローマのコロセウムの時代まで遡るとも言われます。
闘牛が始まるファンファーレの高揚感を勇壮な曲とダンスで表現しています。
男子は力強く、勇ましいマタドールの動き、女子はフラメンコダンサーを演じたり時にはケープ、あるいは牛を表現します。
フラメンコはイスラムの影響を強く受けたジプシーダンスのテクニックと表現が取り入れられています。

1920年代にはパリでスタイルが確立し、音楽のみならずダンス名として世界に広まりました。
その関係でパソ・ドブレのフィガー名にはフランス語が多くみられます。

第2次世界大戦後英国ダンス教師協会によって競技ダンスとして現在のような形に標準化されました。

競技ダンスやデモンストレーションのダンスとして踊られますが、パーティーでは踊る人はまだまだ少ないので曲がかかることは稀です。

特徴

主役のマタドールである男性はあくまで雄々しく、力強さを表現します。
ヒップロールなどは使ってはいけません。

両者生きるか死ぬかのやり取りの緊迫感を出せれば迫力が増します。
胴体の上部、脇、腕を強調します。
ボディにエネルギーを集中して息を吐きながら放出します。


ジャイブ(Jive)


4/4拍子、44小節/分程度で踊ります
カウントは1,2,3&4又はQ,Q,Q&Q ヒート・バリューは1,1、3/4、1/4、1
2拍目と4拍目に強いアクセントがあります。


ジャイブの起源は1920年代のアメリカ、それまでジャズ音楽に合わせてスピーディーな動きの(当時の)フォックストロットが踊られていましたが、その後チャールストン、リンディ・ホップなど動きの激しい、複雑な動きの踊りに変化して行き、1930年代には速いテンポのスイングジャズに合わせて”ジッターバグ”(ジルバの前身)と呼ばれるダンスに進化して行きました。

その後1940年代に英国に渡って改良を加えられ”ジャイブ”となります。
1960年代に競技種目として認定されました。

特徴

発生のルーツが女子を大きく振り回したり回転させる激しい”ジッターバク”ですから、”ジャイブ”も相当激しく、動きが早く、消耗します。
ロックンロールのような”チョイ悪”気分で乗って行ければ、楽しめるのではないでしょうか。
昔のアメリカを想像できるようなダンスです。

膝の伸縮をを強調しますが支持脚であるスタンディングレッグが大事です。
同時にボディの上の方でリズムを刻むアクションを伴います。
キックする足の出すアクションと引き戻すアクションなど、脚部の動きに特徴があります。


パーティーダンス


上記競技10ダンスに含まれないものでパーティーダンスなどと呼ばれます。
比較的易しいステップであることから入門、初級コースとして使用されています。

近年競技ダンス出身の指導者が多くなったせいかはわかりませんが、競技種目以外であるマンボやスクエア・ルンバのようなものはあまり教えられず、従ってパーティーなどであまり踊られなくなったものもあります。

ジルバ(Jiruba)


1920年代のアメリカでリンディ・ホップ(Lindy・Hop)から更にスイングジャズなどが取り入れられたジッター・バグ(Jitter・bug)へと進化して行った後、1940年代に英国でジャイブとして発展していった一方、日本へは戦後米軍キャンプ周辺からクラブ、ダンスホールへとジッター・バグが広まり、比較的易しいステップを用い多くの人に楽しまれました。

日本人にはJitterbugがジルバと聞こえたようで、この呼び方は日本でしかないものです。
ちなみにJitterbugとは”うごめく虫”のような意味だそうです。

パーティーではジャイブの曲だと少しゆっくりなので、クイックステップの曲に合わせて踊られることが多いです。

4/4拍子、36~50小節/分
S,S,Q、Q

特徴


軽快に踊るダンスですから細かいことは気にせずに、音楽にノリノリで楽しんでください。
下半身を使ってスイング感を出せばアメリカンな気分です。


ブルース(Blues)


音楽としてのブルースはアメリカの黒人達によって生まれたものです。
南部から全米各地に広がって行き、シカゴやセントルイスなどの都市でそれぞれ特色あるサウンドとなっていきました。

ただここでいう音楽のジャンルとしてのブルースと社交ダンスのブルースとは別物です。
社交ダンスでは4/4拍子で30小節/分程度のテンポでフォックストロットの曲に合わせてゆっくりと踊られています。
スロー・リズム・ダンスとも称され社交ダンスが生まれた時から踊られていましたが、比較的簡単に覚えられるので初心者の入門用として今もよく踊られています。

大きなムーブメントや回転はないので混んだフロアーでのダンスに重宝されています。
また簡単とはいっても基本的な体重移動の要素を含んでいるので、フットワークのチェックのためにあえて練習として踊る上級者もいます。

特徴


LOD方向の流れに沿って優雅にゆっくりと、フットワークを使いながら踊ります。
ライズ、ロアーもサイドリーディング、CBMなどのダンステクニックも必要ありません。
それだけに社交ダンスの原点である相手とのコミュニケーションをしっかり図ってください。


スクウェア・ルンバ(Square・Rumba)


キューバ発祥と言われる哀愁にみちたルンバは世界中の多くの人々に愛されています。
1930年代にヨーロッパに伝わってコンチネンタル(大陸風の)なルンバとしておしゃれに洗練され世界中に広まりました。

スクエアルンバ又はボックスルンバと呼ばれパリのカフェなどで親しまれました。
イギリスにおいても競技ダンスに取り入れられ踊られていましたが、1960年代に入りアービン夫妻がキューバンスタイルを取り入れて優勝してからはキューバンルンバが正式種目に制定されました。

スクエアルンバは初めての人でも取り組みやすいところから長く初級レッスンのカリキュラムに採用されていますが、最近はダンスパーティーでもほとんど踊られなくなっています。

特徴


キューバンルンバが2拍目から踊り始めるのに対し、スクエアルンバは1拍目から踊り始めます。
カウント1,2,3,4の1~3歩をステップし、4歩目はチョンと寄せるだけで体重の乗り換えはしません。

男女が向かい合ってホールドし前後や左右又ボックス状に踊りますがそれ程大きな移動はありません。


マンボ(Mambo)


キューバの”ソン”から発生した”ルンバ”にジャズの要素が取り入れられ、1940年代末にキューバ出身の”ペレス・プラード”によって世界的に流行しました。
スピード感と歯切れのあるリズムに合わせたダンスが、一時期社会現象になるほど爆発的に流行しましたがその後下火になりました。
社交ダンス界でも入門用として簡単なステップを教えます。
すぐにその日のうちに覚えられる反面、その簡単さが飽きられたのか現在パーティーにおいてはほとんど踊られなくなりました。

最近はマンボの曲も使われなくなって、チャチャチャの曲を代用することも多く、チャチャチャのロックステップを入れて”マンボ・チャチャチャ”として教えることもあります。
4/4拍子
Q,Q,S

特徴


ホールドしないで踊り、男性の動きを見て女子は1小節遅れてあわせます。

ボディやヒップを使いノリノリのラテンのフィーリングで行きましょう。
細かいことは気にしないで音楽を楽しんでください。


その他


社交ダンスとは呼ばないものですが近年ダンス教室などでも教えているところがありますので参考までに以下に記載します。

サルサ(Salsa)


サルサはラテン音楽のひとつです。
スペイン語の”ソース”を意味し、いろいろな音楽が混ざり合って形成されたことに由来しています。

発祥は諸説ありますが”Son”などのキューバ音楽をはじめとするカリブ海地方で発生した音楽が混ざり合い、移民と共にアメリカへわたり1970年ころにサルサとして確立しました。
その後も発展を続けNYスタイル、LAスタイル、キューバンスタイル等々リズムの取り方や踊り方によって独自のスタイルが数多く生み出されています。

アメリカの社交ダンスがテーマの映画”Dance Wis Mie”やその他の映画シーンなどでも、一般のパーティーではサルサが良く踊られています。

日本へはキューバやドミニカなどからの出稼ぎ労働者が深夜に集まる六本木などのバーのスペースで踊られていました。
そういう場所へ日本人なども出入りするようになったりして1990年代になり広まって行きました。
今では外国人インストラクターや海外でサルサにふれた日本人インストラクターによる講習も開かれ全国で楽しまれています。

愛好者は限られますので地方ではいろいろ苦労する面もあると思います。
レッスンは一部のダンス教室、地域センターでのサークル、サルサバーなどで行われています。
公共ホールでのサルサパーティーは任意の日時に随時行われているようです。

六本木のサルサバーは夕方からの早い時間はグループレッスンで、実際のフリーで踊る時間は夜9時以降になるようです。

特徴


基本ステップはマンボと同じです。
社交ダンスに比べてそれほど複雑なステップをするわけではないのですが、早くて小気味の良いリズムに合わせて踊るラテンダンスの楽しさがあります。

細かいことにとらわれず自由な感性で踊るのが良いと思います。
又、変幻自在な手のリードが複雑な動きを作り出します。
狭いバーのスペースで踊られたりするダンスですから大きくは移動せずにタイトに動くのが特徴です。


アルゼンチンタンゴ(Argentina Tango)


アルゼンチンタンゴは19世紀末南米アルゼンチンの港町ブエノスアイレスで生まれました。
ヨーロッパ風のおしゃれな表通りとは異なり、貧しい労働者や娼婦や船乗りたちで混沌とした裏通りであるボカ地区から発生したと言われています。
今でもその名残でアルゼンチン・タンゴ曲のスペイン語の歌詞はかなり品の無いものも多いそうです。

アフリカ系やヨーロッパからの移民又現地のインディオたちで混沌とする中で、ひと時の快楽や癒しを得るために酒場やカフェでギターの伴奏で踊られていました。
従って音楽的にもアフリカやヨーロッパ(特にスペインやイタリアなどラテン系)また現地のフォルクローレ等が複雑に混ざり合ったものになりました。

20世紀に入りヨーロッパへ持ち込まれますが、ムーディで格調高いコンチネンタル・タンゴとしてアレンジされ独自に発達して行きました。
我々日本人が良く耳にしたタンゴ曲はこのコンチネンタル・タンゴであり、社交ダンスで使用されるタンゴ曲も多くはこのコンチネンタル・タンゴでした。

一方アルゼンチンにおいてはドイツからバンドネオンという楽器が持ち込まれ、歯切れの良いスタッカートの効いた独特のアルゼンチン・タンゴの世界を発展させて行きました。

1980年代後半”タンゴ・アルゼンチーノ”公演が世界的にヒットしこれにより日本でも普及するようになりました。
一般に皆さんが映像で見たりでイメージしているのは派手に足を絡ませたりして、激しく官能的なタンゴですがこれはショーとして振りつけられた”ステージ・タンゴ”です。

ダンスパーティーの意味に当たるものは”ミロンガ”と言い、もっとコミュニケーションを大切にした遊び心のある飾り(アドルノ)ステップを入れた即興性の高いダンスで”サロン・タンゴ”と呼ばれます。
このミロンガではアルゼンチン・タンゴ曲の他に3拍子のヴァルス(Vals)、4拍子の(種目としての)ミロンガも演奏され踊られます。

近年新しいダンスの意味のヌエボ(Nuevo)系や電子音を使ったGotan Projectなどさまざまの試みがなされ発展中です。

日本ではサルサと同じように愛好者は限定的です。
都心や地方都市などでアルゼンチンタンゴ教室としてレッスンをおこなっているほか、公共ホールなどでミロンガがおこなわれています。
また、アルゼンチンからも講師が頻繁に招聘されています。

特徴


ベーシックが社交ダンスほどには確立されていないので10人いたら10の踊り方がありますが、最近社交ダンスのように資格制度を導入する動きもあります。

踊り方は上体を近くし社交ダンスのように身体を半分ずらすことなく正対します。
ゆっくりとした男性のリードに女性の身体がシンクロします。
ヒップムーブメントやCBMなどは使いません。

一方の足を残すような動きや足を絡めるなど独特のポーズですが、サルサとは違って脚の使い方に特徴があります。
女性は与えられた時間の中で自由なアドルノを楽しみますが、それをフォローするのも男性の包容力です。



社交ダンスのあれこれ!
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