下半身各部の動き




優れた指導者によるレクチャーは数多くありますので、私も勉強させて頂いています。
ここでは私の身体と頭の理解の及ぶ範囲ではありますが、私なりに感じた身体の主な部分の動きについて述べてみたいと思います。
主なとは言っても結構いろんな要素がありますから全部一度にと思わないで、各人が気になっている点を一つずつ改善して行くことをお奨めします。

最終的に統合した動きに収斂してくれば良いと思います。

”やってるつもり”と”やってる”は違う



私の反省も含めての話ですが、皆さんやってるつもりなのに違うと言われることもあると思います。
わかってると言う方には今更な話なんですが、でも十分でないこともありますね。

10段階の1であってもやってると言えますし、10でも同じやってるのに変わりありませんがその差は10倍で大きな違いです。
また自分ではMAX10のつもりでも後になって15や20の世界があった・・なんてこともあります。

限界そのものが絶対的なものでなくどんどん変わって行くものでキリがありませんが、それって進化しているってことです。
自分で限界を決めないのも楽しみと言えますよね。



オレンジ色・・・トー(T)
ピンク色・・・ボール(B)
赤色・・・ヒール(H)


ブルー色・・・インサイド・エッジ(IE)
グリーン色・・・アウトサイド・エッジ(OE)




①の範囲・・安定する
②の範囲・・比較的安心
③の範囲・・倒れるので不安

①の範囲・・安定する
②の範囲・・比較的安心
③の範囲・・倒れるので不安









踵の上は超安心ではありますが・・
移動時はこの位置で立ち止まらない





















エネルギーを吸い上げる








足首を使っての前後の動き

足首を使っての上下の動き





 足裏から足首


フット・ワーク




良く使われるダンス用語に図のようなトー、ボール、ヒール又インサイド・エッジ、アウトサイド・エッジがあります。


それぞれどの部分を重心が通過するかを示しますが、他に全体を使う意味でホール・フット(WF)があります。

この足裏の各部位をスムースに重心移動することにより、美しいムーブメントが得られます。

足裏は柔らかく使いその部分にとどまることなく、動き続けることが重要です。











この足裏の中でも一番に安定する場所はヒールの上(①で示した部分)です。
エネルギーもより強く伝わりますが移動する上でそこにだけいる訳にいきませんので
その他の部分(②で示した部分)も充分活用しなければなりません。

最も不安定な部分はこの足の接地範囲を外れた範囲(③で示した部分)ということになりますが、そこを省略することのないように大事に次の歩につなぐことが重要なポイントとなります。


横方向はインサイド側の足から外れた部分を③といっても良いのですがあえて②にしたのは、内側に倒れてももう一方の足があるので心理的に比較的安心感がある為と考えました。

単に前後への動きであれば上図のようなトー・ボール・ヒールの意識で良いのですが、横への移動や回転の動きにはこのインサイト・アウトサイドの意識が不可欠です。

ヒールの上で落ち着かない



皆さんはやや前方、ボールのほうに重心を置いて立つように指導を受けておられると思いますが、気がつくとヒールのほうになっていることはありませんか?

フットワークが大事とわかっているのに、でもすぐそうなってしまう原因は脚が踵の上から立ち上がっているからだと私は思います。
だからここにいるととても本能的に安心しますし、すぐその位置に重心を持っていきたくなるのは至極当然のことです。。
でも大きく動くためにはそこは通過点なんですね。

滑らかなムーブメントにはここから前にも後ろにも横方向にも①から③までの間の重心をスムースに移動して、次の足につなげて行かなければなりません。

簡単ではありませんし倒れそうで怖いのですが、これを克服して行くことがダンスを一段とレベルアップすることにつながります。




エネルギーの入口




足の裏は大地(ダンスの場合はフロアーですが)からエネルギーを受け取って上部へ伝えて行く入口のようなものですね。
植物に例えると養分を吸い取る根みたいなものでしょうか。

この足裏や足首等の部分をうまく使うことがフロアと仲良くなるか拒否されるかの重要なポイントになります。

丁度、手のひら感覚のような柔らかさによって、出来るだけ長くフロアとコンタクトしていることで動く為の強い動力を得ます。
ピョンピョン飛び跳ねると力がロスすることは車を例にとるとお分かり頂けると思います。

ノーマルよりラジアルタイヤの方が安定しますし、サスペンションも地面に柔らかく吸い付くほうが乗り心地は良いはずです。

足首は強く、パワフルに使う




大きく曲げ伸ばしをしながら、結構強く、強く足首のパワーを使うようにして下さい。

ただ、女子は高いヒールのシューズを履いて大変なことと思います。
私は常々あの細く、高いヒールで素早く動くことがどんなに大変なことか試してみたいと思っているのですが、大きなサイズの女子用のシューズが身近にないものですからいまだ試せていません。

ですから女子の方には一般論として、強く使ったほうが良いとだけ申し上げておきます。




前後を柔軟に使う




では動くためにはどうするかと言うと、図のように足首の角度をしっかり使って行くことしかありません。

足首をギブスで固定されたらこれはもう辛いですし、膝まで動かなくなってしまいます。

前へ行くにも後ろへ下がるにも踵の上から重心が外れるほど倒れそうで怖いものですが、この角度を使うほど大きくて滑らかなムーブメントが得られると言うことは図からお分かり頂けると思います。

付け根付近で今より1ミリでも余分に動いたら上部では何十倍もの違いになってきますので、努力をする価値のある部分です。



上下を使う




ライズ&ロァーにおいても足首の上下をコントロールします。

途中を省略しでトップへピョンと上がったりカクンと下りたりしないで”土踏まず”部分を通過させる意識を大切にしてみて下さい。

ライズは足首が伸びきった状態ではなく、次に来る動きに備えてバネを蓄えていなければなりませんし、ロァーにおいてはなおのことに強いバネを蓄えて次のライズの準備をしなくてはなりません。

不十分になりがちな足首を使い切ることで、前後だけでなく左右への動きにも対応しやすくなります。
最近私の使い方もまだまだ足りないな・・と思っているところの一つです。

鍛えがいのある部位の一つだと思います。











アウトサイドも使う




横方向の動きで言いますとインサイド側は比較的良く使う方でも、アウトサイドの使い方が足りない傾向があります。

何故かと言うと内側に倒れてももう片一方の足があるので安心ですが、外側へオーバーロードすると倒れる恐怖があるので安心できるイン側に重心を置きたい心理が働くからだろうと考えています。

しかしながらアウトサイド迄使い切ることが、横方向への移動やターン又CBMやサイドリーディング等の動きには欠かせないポイントです。

今より少し柔軟に使う意識だけで、より楽に動けるようになるので試して下さい。





例としてタンゴ男子のウォーク1歩目~2歩目サイドリーディング時の重心移動の方向を矢印で示しました。

1歩目左足アウト~イン、2歩目右足イン~アウトに通過して行きます。

この時アウトサイド通過の意識が足りないと滑らかな移動は望めません。

この場合アウトサイド通過とは重心の通過であって、膝が外へ流れて行くことではありませんので念の為・・。

トーまで使う




フットワークの記述でスイングダンスではトー(T)、ヒール(H)と記載されており、一方タンゴではボール(B)、ヒール(H)となっています。

このトーを使ってこそスイングダンスらしさが発揮されます。

着地の時、また送り足の時にしっかりトーまで使って重心を通過させれば、一味違ったスイングダンスができると思いますが、残念ながらそこまで気にする方は少ないのが現状のようです。

なにも”トーで立て”と無理なことを言っているのではなく、通過させてくれればよいのです。





しっかり曲げる


しっかり伸ばす


大きな角度=大きなムーブメント





ライズ・・足首が伸びる


ニュートラル・・足首直角


ロァー・・足首が曲がる






真っ直ぐ

インサイド

アウトサイド






実際には線より面的な通過になります






トーを通過

ボールを通過




足首、股関節を使わないと膝への負担が増え、故障の原因になる




足首、膝、股関節をバランス良く使い
更に筋肉のアシストを心がける










 O脚・・×  真っ直ぐ・・○




足に対する膝の向きは変化する

 ひざ


負荷を分散




皆さん元気に、楽しそうに踊られているように見えますが、実は膝に不安を抱えておられる方も多いと聞きます。

膝関節は比較的デリケートな関節ですので故障しやすい箇所ですね。

足首や股関節の使い方が足りないとどうしてもこの膝部分に負担が集中しますので、それを避ける為にも脚部全体として負荷を分散させるようにしたほうが賢明です。

膝は前に抜くようにして上部の荷重がまっすぐ足裏に落ちるようにしてみると楽になります。

その代わり筋肉がきつくなると思いますが、関節に比べたら筋肉はいかようにも鍛えることが出来ます。

足首、股関節とうまく連動させながら少しずつ可動域を作っていってください。

私見ですが一部のプロは使い過ぎての故障も起きますが、一般の特に中高年の方は使わな過ぎで錆びついているケースが多いです。

これを無理に使おうとして痛めることが多いので、普段から繰り返し錆落としのエクササイズやストレッチをして下さい。

整形の先生も体重減と筋肉強化が膝痛予防の二大ポイントだと言っておられます。
軽めのスクワットを繰り返し行うことで徐々に強化して行くのが良いと思います。




アウトサイドを締める




又、アウトサイドに流れやすいので足首同様に外側の筋肉を締めて、外に流れないように注意して行きたい部分です。
緩むと0脚になりその結果上体に歪みが生じるばかりでなく、ひざの内側が圧迫されて膝痛の原因にもなります。


ひざの向き




通常フロアに着いた足の向きとひざの向きは前方の同じ方向を向いていますね。

ターンの時はこの足の向きに対するひざの向きは変化して行きます。

ひざ関節自体は水平方向に回転する構造になっていませんが、それでも足元からひざまでの下肢部分だけで見ても左右合わせれば30~45度位は可動域が出来ます。

ちょうど脚を雑巾絞りするような感じです。

これに加えてフットワークや股関節を上手く使うと、足を動かさなくても1/4回転くらいは容易です。

それを上回る回転量になればその時にはヒールは床を離れ、足自体が回転して行きます。

この下肢を上手に使うことによってナチュラルターン、リバースターンを始め、全ての回転動作が実に楽になります。



 股関節・腰


パワーの源


股関節は身体の中でも最大の関節で、大きな可動域を持ち回転にも柔軟に対応する部分です。

またインナーマッスルと呼ばれる腸腰筋が大腿部から骨盤内を通り腰椎までを結び、この伸縮により大きなパワーを発揮します。

ただ意外に使えていないのがこの部分でもあります。
私も丹田を締めて‼・・と良く言われましたがどのくらいやれば良いのかが分からず今から思うとかなり甘いものでした。
ラテンでも”足を強く使う”・・とは丹田を強く締めることによって実現できると考えています。
”締めてる積り”などはまだまだ全く足りなくて、その2倍も3倍も強くしなければならないので全くきりがありません。

近年、股関節の障害を抱える方も多いと聞きますが、動かさな過ぎも一因だということです。


太ももを使う


丹田といわれるこの部分をいかに強く使って行くかは、全ての方にとって非常に重要と考えています。

私は左右の腿を意識的に使って股関節から骨盤の動きを止めないようにすることを意識しています。

またこのサポーティング側の腿に女子のウェイトを感じて運ぶようにしています。



タガを締める


骨盤内は筋肉が複雑に入り組んで内側へと引っ張っているそうです。

これらが弱ってきて緩むとヒップの緊張感がなくなって腰が安定しなくなります。

いわゆる”タガがゆるむ”状態でありふらつきの原因にもなります。

建物でいう土台の部分ですからその上すべてに影響をあたえます。

また丹田のパワーも拡散してしまいますので、普段から前後左右をしっかり締めるように心がけたいものです。

余談ですがお尻の筋肉も使わないと筋繊維の間に脂肪が挟まって”霜降り”肉になるのだそうです。

食べれば美味しい霜降り肉ですが、現実には筋肉が途切れ途切れになることで力が有効に伝わらなかったり、身体を支えられなくなります。

お尻が下がってくるのはそういう現象であって、歳のせいてはないとのことです。

積極的に使うことはダンスの上達とヒップアップの一石二鳥になりますね。

動きを止めない


図は軸足の上にまっすぐ重心をのせるイメージを描きましたが、ライズしてもロァーしてもしっかり前後左右から支えています。

ライズが終わりヒールが床に着いたところで動きを止めがちですが、決して休みではなく続いてロァーの動きがやってきます。

左右の足のチェンジはありますがくれぐれも一曲終わるまで休みはなしです。








浅く使う



深く使う
いずれもインナーマッスルは継続して働いています




バックバランス


今度は移動時のイメージです。

右の上の図は正しい重心で通過できていますので身体に無理がかかることはありません。

二番目の図をみてください。だいぶ後ろに傾いていますね。これインナーマッスルが全然仕事していません。

大きなトップを作ろうとするあまりひっくり返りそうにして踊っている女性がけっこうおられます。

特に競技ダンスをやられている方は過度に過ぎる傾向があると思います。

立てない位置での無理な姿勢は、自身がつらいだけでなく男性にも負担になります。

引きずり込まれて重いと感じますし、ボディを合わせようとすると足がからむ、ムービングレッグが入っていかない等々とても踊りにくいです。

当の本人もスイングができないので違和感があると思います。

傾いているのでコントロールする前に次の足を着かざるを得ないことはこの図からご理解いただけると思います。

後退時にいつまでも前脚が残ることや、前進時次の脚が早く出過ぎることも相手の足にからまって危険なことがありますので注意したい点です。

こういう姿勢の時は仙骨が図のように傾いていて、上にのっている腰椎にも無理が生じます。

腰椎は自然のカーブこそありますが、仙骨のうえに重力線に沿って真っ直ぐに乗るのが自然です。




真っ直ぐ・・○


そっくり返り・・×


仙骨から上が全部傾く・・・×


前傾

これは逆に前傾になって腰が引けるケースです。

ボディを合わせた場合どうしても腰が引けている感じがして、またフロアからも充分なパワーが伝わってこないので、スイスイと妙に軽い感じがしてしまいます。

後退時ムービングレッグを動かすのがが早すぎてそれに腰が引っ張られてしまうことがや、前進時いつまでも足を残してしまうのが原因です。

下を向きすぎる男子もこのようになりがちです。

これだと上体で相手に寄りかかることになり、楽しくシンクロして踊ることが出来なくなりますので避けたい姿勢です。

仙骨立て


サポーティング側の腰回りをしっかり締めて仙骨を真っ直ぐに立てる状態をキープします。

指導者の皆さんが良く言われる”肛門を締めなさい”と言うのと同じことです。

ただ後ろを締めたら前も締めないと釣り合いませんね。

仙骨に対応するのは恥骨ということになりますが、単にお腹を引っ込める意識で良いと思います。

後ろだけ締めて前が抜けてしまったのでは、逆にそっくり返りますので気を付ける大事な点です。


動く時は出ようとする脚と残そうとする脚の相反する釣り合う力で腰のパワーを作りますが、仙骨は真っ直ぐが基本となります。

仙腸関節や下半身の各関節を柔軟に使うことによっても仙骨のふらつきを防ぎます。


女子については良くこんな誤解があります。

上手な方はお尻が出て見えるというのです。

確かにそう見えますがこれは外見だけで判断してしまっています。

図の左はいわゆる出っ尻になっていて、ピンクで表した仙骨の部分が引けて傾いてしまい好ましくありません。

これに対して右図は腰を締めていてなお且つ、中心軸に対してボディを前に出して釣り合っています。

背中のシルエットは外見的には同じように見えますが内容は全く異なります。

男子にも言えることですが、ボディを前に出すこととそれに釣り合う形で腰を後方に残す(引くのでなく)ことによって強いテンションが生まれますので、相手とのボディコンタクトも容易になります。

図のようなラテンでのニーバックの動きについてはもっと強いテンションをかけますが、基本的な考えは同じと考えています。

サイド方向についても同じように考えています。、

試してみて下さい。

今は仙骨を論じています。お尻の肉の盛り上がりは個人差がありますから別です。

ラテンのようなわざとヒップを強調するような演出的な動きはこの限りではありません。






前傾・・×


仙骨の傾き・・×


仙骨立て・・○










左・・×、右・・○



ニーバック

左右水平


左右の腰の高さは一定を保った方が良いことは再三申し上げてきましたが、片足立ちをしますと上げた脚側の骨盤が落ち気味になりますよね(右上の図)。

それを修正してレベルを水平に保つためにというか、仙骨を垂直に保つために少し引き上げ気味にしないといけません(右下の図)。

サポーティングレッグの腿からヒップにかけての内外のサイド筋を使ってしっかり引き上げこれを保持してください。

大きくスイングしたりスピードが乗ってくるとオートバイレースのコーナリングの傾きのように、フリー側の腰は実際は水平より上げ気味になって来ますが、過度に上げ過ぎるのはNGです。

移動の時のフリーレッグ側はあくまでフリーですから、体重を受けないように腰から吊るされたように楽にします。

両脚に力が入りますと動きにくくなります。

サンバ等のラテンの動きには腰を意識的に引き上げるものもあります。



左落ちる=背骨傾く・・×

左引き上げる=背骨垂直・・○

アイソレーション


また余談ですが私のアルゼンチンタンゴの先生はスペイン系アルゼンチン人ですが、彼の持論によると赤道に近い地域程腰を振るダンスなんだそうです。

確かにカリブ海地方のラテンを筆頭にサンバ、フラダンス、ベリーダンス等枚挙にいとまはありません。

寒い地域と言うとアイリッシュダンスやコサックダンス位しか思い浮かびませんが、足技が多いですが確かに腰は振りませんね。

我々もスタンダードは高緯度系、ラテンアメリカンは赤道系として何か納得できるものがありますね。


まあ振るか振らないかは別にしても腰はダンスの命、しっかりコントロール出来るようにはしたいものです。

ラテンのエクササイズで8の字にロールする方法があるのは皆さんご存知のことと思いますが、図のようなアイソレーションを取り入れるのも有効です。

ジャズダンスなどでは必ずエクササイズに取り入れている方法ですが、腰の柔らかさはラテン、スタンダードの動きに取っても極めて重要ですので、練習前や後のエクササイズに取り入れることをお奨めします。

この時肩は水平を保って下さい。






腰を動かす方向


社交ダンスよもやま話!